《AID》シリーズは、スマートフォンのドローイング制作アプリを用いて風景をスケッチし、その画像をキャンバス上に投影してなぞるように描くという手法で制作されたシリーズ。本作は、おりづるタワーの展望台から見下ろした広島平和記念公園を描いている。
広島平和公園に隣接するおりづるタワーは、広島マツダが「広島東京海上ビル」を２０１０年に取得し、改修ののち２０１６年にオープンしたオフィス・会議室兼、商業施設である。
《AID》シリーズは、おりづるタワーの展望台から原爆ドームを見下ろして描く/スケッチすることから始まった。シリーズを続けていくなかで、たびたび展望台にあがってはスケッチを繰り返しており、デジタル上では何枚か同じ視点から描かれた日付の違うスケッチが存在している。
本作は、同じ視点から描かれたスケッチをデジタル上でレイヤーごとに分解し再構成しており、描き手と対象との関係性や視点を残しつつ、描かれたタイミングの違うスケッチを組み合わせることで、重層的な時間軸をもったイメージを生成している。